日本の水道水は、水道法に基づく水質基準に適合しており、生涯に渡って飲み続けても健康上問題のないレベルの安全性が確保されています。
とはいえ、微量の塩素などが含まれているため、気になる方は浄水器を使用して水をろ過したり、ミネラルウォーターを利用したりすることも検討するとよいでしょう。
そこで今記事では、そんな水道水と天然水の違いについて解説していきたいと思います!
天然水と水道水違いとは?
早速ですが、天然水と水道水の違いについて説明していきます。
主に、以下の3つが違う点となります。
①原水
天然水は、地下水を原水としています。
地下水は、地表の土壌や岩石層によってろ過され、ミネラルや微量元素が豊富に含まれています。
一方、水道水は、主にダムや河川などの地表水を原水としています。
地表水は、地下水に比べてミネラルが少ない傾向にあります。
②処理
天然水は、沈殿やろ過、殺菌処理以外は何の処理も施されていません。
そのため、天然水の中には鉄やマンガンなどのミネラルが豊富に含まれているものがあり、これらのミネラルによる鉄臭やマンガン臭がする場合があります。
一方、水道水は、不純物や細菌を除去するために、さまざまな処理が施されています。
そのため、安全性は高いですが、水道水中の病原菌や藻類などの微生物を殺菌するために塩素が使用されため、若干の塩素臭があります。
この塩素臭は、水道水の安全性を担保するために必要な臭いであるため、完全に消臭することはできません。
③価格
天然水と水道水の価格は、大きく異なります。
天然水は、1Lあたり約100円から200円程度の価格が一般的です。
これは、地下水を汲み上げ、ボトル詰めするなどのコストがかかるためです。
一方、水道水は、1Lあたり約0.1円から0.2円程度の価格です。
これは、水道事業者が原水の水質管理や水処理、水質検査などの費用を負担しているためです。
なお、天然水の価格は、ボトルのサイズやメーカー、産地などによっても異なります。
天然水 | 水道水 | |
原水 | 地下水 | 地表水 |
処理 | 沈殿、ろ過、殺菌のみ | 不純物や細菌除去のための各種処理 |
味 | ミネラルや微量元素が豊富で、塩素臭や鉄臭などの不快な臭いがある場合がある | 安全性が高く、塩素臭や鉄臭などの不快な臭いが少ない |
価格 | 高め | 安価 |
どちらがより良いかは、個人の好みや用途によって異なります。
天然水は、ミネラルや微量元素を豊富に摂りたい方や、料理やお茶にこだわりたい方におすすめです。
水道水は、安全性やコストを重視する方や、日常的に大量の水を利用する方におすすめです。
水道水は本当に安全?
日本の水道水は、水道法に基づく水質基準に適合しており、生涯に渡って飲み続けても健康上問題のないレベルの安全性が確保されています。
水道水の安全性を担保するためには、以下の3つの原則が定められています。
1.原水の水質管理
原水となるダムや河川の水質を管理することで、水道水に含まれる不純物を少なくします。
2.水処理
不純物や細菌を除去するために、沈殿、ろ過、殺菌などの水処理を行います。
3.水質検査
水道水の水質を定期的に検査し、水質基準に適合していることを確認します。
具体的には、水道水には以下の項目の基準が定められています。
- 濁度:1度以下
- 色度:15度以下
- 臭気:無臭
- 味:無味
- 残留塩素:0.1mg/L以上、1mg/L以下
- アンモニア性窒素:1mg/L以下
- 亜硝酸性窒素:0.5mg/L以下
- 鉛:0.01mg/L以下
- カドミウム:0.001mg/L以下
- ヒ素:0.01mg/L以下
- セシウム:100Bq/L以下
また、水道水は、水道法に基づき、地方自治体が管理を行っています。
そのため、水道水の安全性については、地方自治体に問い合わせることも可能です。
残留塩素
水道水に含まれる塩素は消毒剤として使用されていて、強い酸化力を持つため水道水中の病原菌や藻類などの微生物を殺菌することができます。
水道水の残留塩素濃度は、水道法に基づき、0.1mg/L以上、1mg/L以下と定められています。
この濃度であれば、生涯に渡って飲み続けても健康上問題のないレベルであるとされています。
しかし、残留塩素には、以下のようなデメリットもあります。
デメリット
・塩素臭や鉄臭などの不快な臭いがすることがある
・水道水中のカルキを溶かし出し、白く濁ることがある
・水道水のミネラルを吸着してしまうことがある
塩素臭や鉄臭が気になる場合は、浄水器を使用して塩素を除去したり、ミネラルウォーターを利用したりするとよいでしょう。
また、塩素臭を軽減するには以下の方法があります。
塩素臭を軽減する方法
・浄水器を使用する 浄水器には、塩素を除去する機能を持つものがあります。浄水器を使用すると、塩素臭を除去しながら、天然水のミネラルを残すことができます。 ・水を沸騰させる 水を沸騰させると、塩素は揮発し、塩素臭が消えます。ただし、水のミネラルも失われるため、注意が必要です。 水を冷蔵庫で冷やす 水を冷蔵庫で冷やすと、塩素臭が弱まります。ただし、完全な消臭にはなりません。
水道水には何が含まれているの?
水道水に含まれる物質は、大きく分けて【ミネラル】と【不純物】です。
ミネラル
水道水に含まれるミネラル
- ・カルシウム
- ・マグネシウム
- ・カリウム
- ・ナトリウム
- ・鉄
- ・亜鉛
- ・マンガン
- ・銅
ミネラルは、人間の体に必要な栄養素です。
カルシウムは、骨や歯の形成に、マグネシウムは、神経や筋肉の働きに、カリウムは、血圧の調整に、ナトリウムは、体液のバランスを保つことにそれぞれ役立ちます。
水道水のミネラル含有量は、原水の水質や水処理方法によって異なります。
一般的な水道水のミネラル含有量は、以下のとおりです。
ミネラル | 含有量(mg/L) |
カルシウム | 20~100 |
マグネシウム | 5~30 |
カリウム | 2~10 |
ナトリウム | 10~50 |
鉄 | 0.01~0.1 |
亜鉛 | 0.005~0.01 |
マンガン | 0.001~0.005 |
銅 | 0.0001~0.001 |
水道水のミネラル含有量は、健康に悪影響を及ぼすレベルではありません。
しかし、ミネラルを多く含む水を好む方や、ミネラルを多く摂りたい方は、ミネラルウォーターや浄水器を使用して、水道水のミネラル含有量を調整することもできます。
不純物
水道水に含まれる不純物
- 細菌
- ウイルス
- 藻類
- 原生動物
- 浮遊物質
- 溶存物質
細菌やウイルスなどの微生物は、水道水中の有機物を食べることで増殖し、食中毒や感染症を引き起こす可能性があります。
そのため、水道水は、消毒剤を使用してこれらの微生物を除去する必要があります。
浮遊物質や溶存物質は、水道水の味や臭いを悪化させたり、健康に悪影響を及ぼしたりする可能性があります。
そのため、水道水は、ろ過などの処理を行ってこれらの物質を除去する必要があります。
天然水には何が含まれているの?
天然水に含まれる物質は、水道水と同じく大きく分けて【ミネラル】と【不純物】です。
ミネラル
天然水に含まれるミネラル
- ・カルシウム
- ・マグネシウム
- ・カリウム
- ・ナトリウム
- ・鉄
- ・亜鉛
- ・マンガン
- ・銅
天然水のミネラル含有量は、原水の水質や地質によって異なります。
一般的な天然水のミネラル含有量は、以下のとおりです。
ミネラル | 含有量(mg/L) |
カルシウム | 10~100 |
マグネシウム | 5~30 |
ナトリウム | 10~50 |
カリウム | 2~10 |
鉄 | 0.01~0.1 |
亜鉛 | 0.005~0.01 |
マンガン | 0.001~0.005 |
銅 | 0.0001~0.001 |
天然水のミネラル含有量は、健康に悪影響を及ぼすレベルではありません。
しかし、ミネラルを多く含む水を好む方や、ミネラルを多く摂りたい方は、天然水を選ぶとよいでしょう。
不純物
天然水に含まれる不純物
- ・有機物:植物や動物の遺体などが分解されてできた物質
- ・無機物:地層や岩石などに含まれる物質
- ・微生物:細菌や藻類などの微小な生物
天然水の不純物は、水の味や臭いを悪化させたり、健康に悪影響を及ぼしたりする可能性があります。
そのため、天然水は、水質検査が行われており、水質基準に適合していることが確認されています。
なお、天然水の水質基準は、日本工業規格(JIS)によって定められています。
JISの水質基準は、水道水の水質基準よりも厳しく、健康に悪影響を及ぼす可能性のある物質の含有量が制限されています。
まとめ
天然水と水道水の違いについて解説しました。
最後にもう一度、天然水と水道水の違いをまとめます。
天然水と水道水の違い
- 原水が異なり、含まれているミネラルや微量元素が違う
- 殺菌処理以外の処理の有無
- 価格
生活を豊かにするという面では、天然水を取り入れるのがおすすめです。
天然水は、塩素臭がないため、水道水よりもおいしいと感じる人が多いようです。
また、塩素の健康への影響が気になる方にもおすすめです。
しかし、水道水も健康上問題のないレベルの安全性が確保されています。
完全に塩素臭を取り除くことは難しいですが、軽減できる方法もあるので気になる方は試してみてください。
天然水と水道水のどちらが自分に合っているのかは、個人の好みやライフスタイルによって異なります。
この記事を参考に、あなたに合った水を飲んで健康な生活を送ってください♪